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文献概要
解剖を中心とした脳神経手術手技
振戦に対する定位的視床手術
著者: 大江千廣1
所属機関: 1群馬大学脳神経外科
ページ範囲:P.707 - P.716
文献購入ページに移動I.Introduction
振戦に対する定位的視床手術は現在のところ視床Vim(Ventralis Intermedius)核を正確に決定して,患者各個人が有する振戦のひろがり(上肢,下肢,体幹など)を考慮した上でVim核内の一応の身体局在に従って必要な範囲のみを凝固するというやり方,すなわち選択的視床Vim核手術により,振戦の種類によらず,術直後から5年,10年の長期にわたり,ほぼ恒久的な寛解が得られることが明らかにされている5,8,12).この意味では,振戦に対する定位的視床手術はほぼ完成したといってよいのではないかと考えられる.そこで以下に,その経験から導びかれた理論的根拠と手術手技について述べる.
振戦に対する定位的視床手術は現在のところ視床Vim(Ventralis Intermedius)核を正確に決定して,患者各個人が有する振戦のひろがり(上肢,下肢,体幹など)を考慮した上でVim核内の一応の身体局在に従って必要な範囲のみを凝固するというやり方,すなわち選択的視床Vim核手術により,振戦の種類によらず,術直後から5年,10年の長期にわたり,ほぼ恒久的な寛解が得られることが明らかにされている5,8,12).この意味では,振戦に対する定位的視床手術はほぼ完成したといってよいのではないかと考えられる.そこで以下に,その経験から導びかれた理論的根拠と手術手技について述べる.
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