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研究
慢性硬膜下血腫摘出後のTension pneumocephalus
著者: 河上靖登1 田宮隆1 島村裕1 横山芳信1 千原卓也1
所属機関: 1神戸市立西市民病院脳神経外科
ページ範囲:P.833 - P.837
文献購入ページに移動われわれは23例の慢性硬膜下血腫摘出後の空気の硬膜下貯留について検討した.術後の硬膜下空気貯留は,微量が7症例,少量が9症例,大量が7症例であった.このうち臨床症状の悪化を伴ったのは大量貯留7症例のうちの2症例で,1例は脳内血腫を合併し,他の1例は,空気の硬膜下大量貯留により,術前に比しmass effectの増大を示し,tension pneumo-cephalusと診断された.その成因として,術中硬膜下腔に挿入されたclosed drainage systemがone-way valveとして作用したためと考えられ,硬膜下の空気の吸引にて,mass effectおよび臨床症状の改善をみた.
一方,空気の硬膜下貯留が大量であった残りの5症例の臨床経過は良好であった.このことより,術前に比し,空気によるmass effectの増大を術後認めない限り,たとえ空気の硬膜下貯留が大量であっても,空気の吸引などの治療は必要ないと考えられた.
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