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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科13巻8号

1985年08月発行

文献概要

研究

中枢性疼痛における内側毛帯系の役割について

著者: 難波真平1

所属機関: 1岡山大学脳神経外科

ページ範囲:P.855 - P.864

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I.はじめに
 表在性皮膚知覚は,温痛覚を伝達する脊髄視床路(spinothalamic tract:STT)と識別性触圧覚を伝達する後索→内側毛帯系よりなることは周知の事実である.これらの2系の知覚伝導路は,中脳レベルまでは比較的明瞭な区分された神経線維束を形成しているが,視床・大脳皮質レベルにおいては両系はintermingleし18,19,26,30),おそらく両系がお互いに拮抗的にあるいは協調的に機能することによって,正常な知覚が司られるものと考えられる.中枢性疼痛を惹起する種々の病巣は,中枢におけるこの両系を種々の程度で破綻せしめることにより頑痛を発現させるものと推定される.われわれは最近,中脳上位での内側毛帯(lemniscus medialis:LM)への手術的な破壊巣の作成が,術前には全くみられなかった新たなhyperpathia,dysesthesiaを発現させた1症例と,これとは逆に,大脳皮質知覚野の障害により惹起されたと考えられたdysesthesia,hyperpathia,spontaneouspainがLMの刺激で軽快したという対照的な結果をもたらした他の1症例を経験した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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