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研究
Osmotic blood brain barrier modificationによるACNUの悪性脳腫瘍組織内への移行
著者: 宮上光祐1 賀川幸英1 坪川孝志1
所属機関: 1日本大学脳神経外科
ページ範囲:P.955 - P.963
文献購入ページに移動悪性脳腫瘍化学療法の治療効果に影響する種々のfac-torのなかで,薬物の治療効果を上げる要因の1つとして,薬物が生理的に存在する血液脳関門をどの程度通過し,腫瘍組織に到達するかが重要である,脳腫瘍を摘出し,化学療法を行っても血液脳関門の正常な切除辺縁部において血管透過性の悪い9)ことが再発の1つの大きな要因にもなっている.最近Rapoportら21)によりman-nitolなどの高張滲透圧溶液を動脈内注入することにより一時的に可逆的血液脳関門の破綻をきたすことが報告され,さらに,Neuweltら18-20),Bonstelle2)らの悪性脳腫瘍の化学療法にこのreversible osmotic blood brain barrier disruptionを臨床応用した報告がある.
今回,臨床上広く使用されているnitrosourea系抗腫瘍剤ACNUを用いて,悪性脳腫瘍例に20% mannitol頸動注とともにACNUを動注し,血中ならびに腫瘍内移行濃度を,同様のmannitol動注後におけるcontrastenhancement CT上の造影増強効果所見と対比して検討し,興味ある知見を得たので報告する.
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