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研究
重症頭部外傷における下垂体前葉ホルモン—Releasing hormoneに対する反応性と予後について
著者: 横田裕行1 小林士郎1 矢嶋浩三1 中沢省三1 矢埜正実2 山本保博2 大塚敏文2
所属機関: 1日本医科大学脳神経外科 2日本医科大学救急医学科救命救急センター
ページ範囲:P.973 - P.980
文献購入ページに移動重症頭部外傷急性期における病態の把握と予後の判定のために,受傷時よりの意識レベルの推移,受傷時の神経学的所見やCT スキャン所見,入院後の頭蓋内圧の推移などについてさまざまな検討が試みられている4,12-15,21,22,24,30,32,37,39).われわれは,重症頭部外傷患者の予後を左右する最も大きな要因は脳挫傷の有無およびその程度と考え,脳挫傷による臨床所見としての意識状態,頭蓋内圧,聴性脳幹反応に注目し,予後との相関について考察を行ってきた23,40).脳挫傷は一次的あるいは二次的に脳の代謝障害や脳局所循環障害を惹起するものと考えられており6),広汎な脳損傷を有する重症頭部外傷においては,視床下部,下垂体における代謝,および局所循環もその例外ではないと推測される9,12).われわれの教室では早くから視床下部前方の中隔野よりのtubeo-hypophyseal tractを1st.stepとする hypothalamus-anterior hypophyseal humoral axis,すなわちgrowth hormone(GH),thyroid stimulating hormone(TSH),luteinizing hormone(LH),follicular stimujating hor-mone(FSH)に注目し,重症頭部外傷患者におけるこれらのhormoneの動態を考察してきた29).
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