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研究
悪性脳腫瘍に対する光化学療法—白色光を用いた実験的研究
著者: 関本達之1 平川公義1 上田聖1 中川善雄1 伊林範裕1 中村公郎1
所属機関: 1京都府立医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.991 - P.996
文献購入ページに移動神経放射線学の進歩により,悪性脳腫瘍の診断は容易かつ確実となってきたものの,その治療成績は依然として低迷し,手術療法,放射線療法,化学療法などを駆使しても,1年生存率は約53%,5年生存率は約15%という芳しからざる状態にある19).このような悪性脳腫瘍の治療成績がどのような因子により規定されているかを統計的手法により解析してみると,腫瘍の切除量と手術回数とが大きな比重を占めていることがわかる9).それによると,治療成績の改善のためには,物理的に腫瘍をできるだけ大量に除去し,再発の原因となる腫瘍細胞の残存をすこしでも少なくしなくてはならない.しかし,一方,神経機能の温存も重要なことである.この両者を満たす新しい治療法の開発が望まれる所以である,われわれは,新しい治療法開発の一環として光化学療法photoradiation therapyに着目し,実験的に検討することとした.
光化学療法photoradiation therapyとは3),腫瘍細胞に特異的にとりこまれる hematoporphyrin derivative(HPD)W投与し,光を照射することにより,HPDが化学的に活性となり,殺細胞効果をひきおこすことを利用したものであり,腫瘍細胞のみを選択的に障害させる点で理想的な治療法となる可能性を秘めている.本法は他臓器の腫瘍に対して,すでに臨床的に応用されている11,25).本稿では,悪性脳腫瘍の治療に応用する第1報として,白色光による実験的研究について報告する.
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