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研究
実験的くも膜下出血における頭蓋内圧変動
著者: 辻哲朗1 林実1 野口善之1 白崎直樹1 藤井博之2 山本信二郎2
所属機関: 1福井医科大学脳神経外科 2金沢大学脳神経外科
ページ範囲:P.45 - P.49
文献購入ページに移動頭蓋内圧亢進を有する症例において頭蓋内圧を連続的に記録すると,上昇した頭蓋内圧に重なって急激な頭蓋内圧の変動,すなわち圧波の現象がみられる.Lundberg13)は,この圧波をA波,B波,C波の3型に分類した.特にA波に関してはその波形の特徴からプラトウ波と呼び,脳腫瘍などの慢性頭蓋内圧亢進を有する症例にしばしば観察されると述べた.プラトウ波の頻回の出現は,脳幹機能を損傷し,最終的には終波に移行して個体を死に至らしめるなど,その臨床的意義は大きい.プラトウ波の現象は多くの臨床例における観察7,10,13,15)や動物実験16)にもかかわらず,その成立機序は依然として解明をみていない.著者はイヌのくも膜下腔に溶血赤血球を注入することにより,頭蓋内圧亢進のモデルを作製し,その後の頭蓋内圧記録においてプラトウ波に類似の波の出現を認めたので,その出現機序に関し若干の考察を加え報告する.
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