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症例
小児の脳虚血性病変と脳血管炎
著者: 早川勲1 竹村信彦1 黒岩明彦1 藤原一枝1 土田富穂1 柳橋萬之1
所属機関: 1都立墨東病院脳神経外科
ページ範囲:P.1513 - P.1519
文献購入ページに移動小児の脳血管障害は新生児期の出血性病変を別とすれば,脳底部異常血管網症(モヤモヤ病)は例外として一般的には稀である1,7,21,23).特に一次的病変としての脳血管閉塞性病変は少なく,その病因を特定し得ないことも少なくない.このことは,成人では加齢に伴う脳血管の粥状硬化を背景として,70-80%が脳血管閉塞性病変であるのと著しい対照を示している1).しかし成人でも若年層になるほど動脈硬化症の関与は少なく,Resch &Baker22)によれば40歳以下では動脈硬化症の所見を欠くものが男性で71.9%,女性で79.2%あり,脳動脈硬化症が決して脳血管障害の主要因子ではなく,代わりに自己免疫病変による血管炎関与の可能性が示唆されている1,23).
一方,小児における脳血管閉塞性病変の多くのものは乳幼児期に発生し,中大脳動脈(Mc)域に梗塞巣をつくるとされているが,その病因は不明のことが少なくない12,16-18,21).
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