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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科14巻2号

1986年02月発行

文献概要

研究

体性感覚誘発電位のN20の上行脚の成分について—ヒトの中脳からの直接記録による考察

著者: 平孝臣1 天野恵市1 河村弘庸1 谷川達也1 川畠弘子1 能谷正雄1 伊関洋1 塩飽哲士1 長尾建樹1 岩田幸也1 梅沢義裕1 喜多村孝一1

所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科

ページ範囲:P.171 - P.176

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I.はじめに
 手根部正中神経を電気刺激して得られる体性感覚誘発電位(SEP)は,noncephalic referenceを用いて記録される短潜時SEPと,それ以降の潜時で記録される皮質SEPとに大別される.前者には,P9,P11,P13,P15およびN1818-10,19),後者にはN20,N30,N6018),などが確認されている.これらの反応のうち,N18,N20は従来P15の後に引き続いて記録されるひとつの陰性波としてN1と呼ばれていた.しかし,その後,N18は頭皮上広範に分布し10),視床皮質間の障害において影響をうけない20)ことが見いだされた.—方,N20は頭頂葉第一次体性感覚野に一致した分布を示し13),視床皮質間の障害によって記録されなくなる4,20)ことがわかり,N1が2つの要素,すなわちN18とN20とから構成されることが確実となった.
 Abbruzzeseら1,2)は詳細な検討により,P15とN20の間にN16とN17のふたつの要素があることを報告している.また最近Eisenら11)は,digital fiterを用いた手法によって両の上行脚には少なくとも3つの陰性波が存在することを確認している.このようにSEPのP15とN20の間の成分に関しては,N18は確実としても,いまだ見解の一致をみるに至っていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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