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研究
造影剤血管外漏出を認めた破裂脳動脈瘤症例の臨床的特異性—自験例および文献例82症例の検討
著者: 岩肇1 京井喜久男1 角田茂1 横山和弘1 今西正己1 内海庄三郎1
所属機関: 1奈良県立医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.263 - P.270
文献購入ページに移動破裂脳動脈瘤患者に対する早期の血管撮影は診断・治療上不可欠である反面,動脈瘤の再破裂を起こし,造影剤の血管外漏出(extravasation:以下EVと略す)をきたす誘因となる危険性が存在する,いったん造影剤のEVが起こると患者の生命予後は悪く,一般的には絶望視されがちである.
1954年Jenkinsonら9)以来,EVに関する報告1-17,19-22)は少なくないが,その多くは症例報告か,造影剤の種類,注入量,注入法など血管撮影の手技上の問題や,それに対応する生体側の反応について論じたものであり,「破裂脳動脈瘤患者がどのような状態にあればEVを起こしやすいか」という疑問に答えてくれる報告は見当らない.著者らは自験列および文献例で,臨床経過よりEVの発生要因および患者の予後を左右する因子について検討したので,若干の考察を加えて報告する.
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