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研究
脳血管緊張に及ぼす脳幹部脳血管運動中枢の役割—第2報 延髄網様体刺激の脳血管緊張に及ぼす影響
著者: 西浦司1 長尾省吾1 谷本尚穂1 河内正光1 須賀正和1 室田武伸1 門間文行1 本間温1 筒井巧1 久山秀幸1 西本詮
所属機関: 1岡山大学脳神経外科
ページ範囲:P.499 - P.507
文献購入ページに移動われわれは急性脳腫脹発現機構を解明する目的で脳血管緊張中枢が存在すると考えられている脳幹部,すなわち視床下部背内側核(DM),中脳網様体(MBRF)および延髄網様体(MORF)の破壊・刺激実験を行ってきた.その結果,前報に示したように,ほとんどの実験例ではこれらの部位の破壊あるいは刺激により頭蓋内圧(ICP)の上昇は一過性にとどまり,進行性の急性ICP亢進状態には至らなかった19).しかし,この一連の実験例(56頭,212刺激および破壊実験例)のなかで6実験例(6頭)では急激かつ進行性のICP亢進状態が作成された18).すなわち,実験終了後,脳切片で確認し得た一側および両側DM破壊の各々1例,一側視床破壊1例(Fig.1a),一側尾状核破壊1例およびDM,MBRF同時破壊にMORF刺激を追加した2例で,Fig,1bは両側DMおよびMBRF破壊にMORF刺激を追加した1実験例を示すが,刺激開始直後,血圧上昇反応を伴ってICPは上昇し,100mmHgにも達した.この現象はMORF刺激状態もまた急性脳腫脹発現の一因となる可能性を示唆しており,今回はDM,MBRFを,第1報と同様に破壊した後,MORF刺激を追加し,MORF刺激状態が脳血管緊張およびICPにどのような影響を及ぼすかを,ICP正常時およびICPを亢進せしめた状態で検討した.
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