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研究
モルフィン硬膜外持続投与による慢性癌性疼痛の治療—体内埋込式自動注入器の使用経験
著者: 森竹浩三1 半田肇1 梅田信一郎2 西岡達也1 諏訪英行1 小西常起1 高家幹夫1
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2京都大学麻酔科
ページ範囲:P.761 - P.768
文献購入ページに移動癌患者のなかには一般の鎮痛剤ではコントロールの困難な癌性疼痛が社会復帰を阻んでいる例が少なくない.このような患者に対してはモルフィンが投与されるが,通常の全身投与法では量が多くなるため,中枢神経抑制作用などの副作用や薬剤耐性が問題になっていた.この全身投与法の欠点を少なくし,より確実な鎮痛効果を長期にわたり得る方法として,最近モルフィンの硬膜外投与が広く行われるようになっている1,6).通常one-shot注入や体外ポンプによる持続注入が行われるが,いずれもほぼ毎日通院する必要があり,長期にわたると感染の危険も高まるなど,社会復帰の面でも多くの難点を残していた.これらの問題を解決するため,体内完全埋込式薬剤自動注入装置として開発されたポンプが応用され,すでに欧米では好成績が報告されている3,8,12).われわれも2例の癌性疼痛患者にInfusaidポンプによるモルフィン硬膜外投与を行い,いずれも患者の家庭および社会生活の質的向上に寄与できたと考えられたので,In—fusaidポンプの有用性を中心に報告する.
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