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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科14巻7号

1986年06月発行

文献概要

症例

頭蓋内悪性Germ cell tumorに対するPVB療法と放射線照射の同時併用について

著者: 平孝臣13 別府俊男1 松森邦昭1 久保長生2

所属機関: 1国立相模原病院脳神経外科 2東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科 3現籍 東京女子医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.927 - P.933

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はじめに
 embryonal carcinomaやyolk sac tumorに代表される頭蓋内悪性germ cell tumorは,通常のgerminomaと異なり,放射線治療にある程度は反応するものの,再発は必死であり,平均生存期間は1年から2年と極めて予後不良である21).しかし近年,泌尿生殖器系の悪性germ cell tumorに対するcisplatin, vinblastin, bleomycinの三者併用療法(PVB療法)8,13)が頭蓋内原発の悪性germ cell tumorにも導入され,効果をあげている10,24,26).しかし,この治療を行った症例が増加するにつれ,PVB療法後の再発例でPVB療法に反応しない症例もみられるようになった15,19).またcisplatinは髄液移行が悪いため11,28),germ cell tumorにしばしばみられる髄液播種に対する効果は疑問である.このようにPVB療法は,頭蓋内germ cell tumorに有効な治療法とは考えられるが,いまなお十分に検討する余地があると思われる.
 一方,PVB療法の主剤であるcisplatinには放射線増感作用があり4-7,23),この効果を期待したcisplatin投与下での放射線治療の基礎的の17)および臨床研究9,29)の報告もなされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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