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研究
基底核部脳出血重症例の手術適応と限界
著者: 川村伸悟1 大田英則1 鈴木明文1 安井信之1 上山博康2
所属機関: 1秋田県立脳血管研究センター脳神経外科 2北海道大学脳紳経外科
ページ範囲:P.1071 - P.1076
文献購入ページに移動基底核部脳出血(hypertensive intracerebral hemor—rhage in the basal ganglia:HIH)例の手術適応にはいまだに統一した見解をみず,特に半昏睡以上の重症例における手術適応は最も.議論のあるところである2-4,6,7,9,11).これら重症例では血腫が内包に進展する場合が多く,ときに視床・大脳脚,さらには中脳など脳幹にまで進展する場合もある.したがって,血腫除去を行い救命しえても高度の運動障害などを後遺する例が多く,不可逆的脳幹損傷を有する例では遷延性意識障害に移行する場合もある.
われわれは,これまで脳内血腫がもたらす病態を考察し,HIH重症例の手術適応・手術時期などを積極的な立場で検討してきた4,9,10).しかし,上記のようにこれら重症例では,機能の面で必ずしも満足のゆく転帰が得られないことも少なくなかった.そこで,本稿では,機能予後を重視する観点からHIH重症例の手術適応と限界につき検討を加え報告する.
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