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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科15巻1号

1987年01月発行

文献概要

症例

腫瘍内出血をきたしたMedulloblastomaの1剖検例

著者: 鳴海新13 平野朝雄1 加藤丈夫1 山本徹12

所属機関: 1モンテフィオーレ・メディカルセンター神経病理学部門 2現 北野病院神経内科 3現 岩手医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.103 - P.107

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I.はじめに
 脳腫瘍の合併症の1つとして腫瘍内出血が起こることは昔からよく知られている11).一般に原発性脳腫瘍からのmassive hemorrhageは約5%に起こり,その大多数はglioblastomaやpituitary adenomaなどの例に見られるといわれている5,10,15).一方,medulloblastomaは全頭蓋内腫瘍の2-4%,小児頭蓋内腫瘍の15-20%を占める1,9)小児の代表的な悪性脳腫瘍であるが,それが腫瘍内出血をきたし急激な臨床経過をとることは非常に稀と考えられる.私どもが渉猟し得た限りではmedulloblastomaの再発巣や転移巣から出血した例12)や,外科的治療(脳室ドレナージ)後14)および放射線治療後に10,12)出血した例などを含めても25例2,3,5,6,8,13,15-18)の報告を見るのみである.それらの報告のなかで病理組織学的に詳細に検討したものは3例2,8,13)に過ぎない.今回私どもはmedulloblastomaの出血例を経験し,病理組織学的に詳細に検討することができたので報告するとともに,その出血機序についても考察を加える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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