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症例
胸腔および脊椎管にDumbbellに進展した胸椎血管腫の1例
著者: 本田英一郎1 林隆士1 徳永孝行1 本田直美1 宇都宮英綱2 佐藤能啓3 正島和人4
所属機関: 1聖マリア病院脳神経センター脳神経外科 2聖マリア病院脳神経センター神経放射線科 3聖マリア病院脳神経センター神経内科 4久留米大学脳神経外科
ページ範囲:P.1125 - P.1130
文献購入ページに移動脊椎の血管腫は胸部X線写真(胸写)や胸腰椎単純写でincidentalに発見されることも少なくない.また剖検例の7-12%20)に認められ,無症状に経過していた血管腫がほとんどである.しかし脊髄症状を発現して直接的に手術が行われた症例報告は本邦では整形外科領域に散見される程度で,脳神経外科領域でも極めて少ない.この理由は椎体血管腫は極めて易出血性であり,術中止血のcontrolが困難なためである.もう一つは近年embolization3, 13)やradiation8, 27)による有効な治療結果が報告されているためでもある.
今回われわれは胸椎に発生し,大部分の血管腫が胸腔と脊椎管に進展した症例を経験した.この血管腫に対し,脊椎管内のみの摘出に終ったが,2年間のfollow—upでも症状は完全に消失し,再発や出血はなく良好な経過をたどり,しかも胸写にて軽度ながらも胸腔内hemangiomaの縮小をみている.
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