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研究
くも膜下出血後の脳循環動態—転帰不良例における検討
著者: 山形専12 菊池晴彦12 伊原郁夫1 永田泉1 諸岡芳人1 鳴尾好人1 小泉孝幸1 橋本研二1 南川順1 宮木享1
所属機関: 1国立循環器病センター脳神経外科 2現籍 京都大学脳神経外科
ページ範囲:P.1189 - P.1196
文献購入ページに移動くも膜下出血後の脳血流量(CBF)測定の目的はその病態を知ると同時に,いかに早期にCBFの変化をとらえ,これに対しCBFを保つべく必要かつ十分な治療を行っていくことにある.特に重症例においては,CBFの低下がくも膜下出血直後より認められ,その後も脳血管攣縮などによりさらに増強される.このため,CBFを維持するためにいつ積極的な治療を開始し,その後はどの程度の治療を行い,またその治療によるCBFの維持がどれほど可能であるかを知る指標が必要となることだろうと思われる.このような脳循環動態を知るためには,できれば連続的な測定が必要となる.われわれはこれまで脳血流量のモニタリングシステムを開発し,臨床応用を試み,くも膜下出血後の症例に対してもその有用性を報告してきた14-16).このなかで今回は転帰不良となった症例を取り上げ,その脳血流量の経時的変化とともに頭蓋内圧の変化および臨床経過より,これらの症例に対する病態と現時点での治療法の限界について検討する.また同時にくも膜下出血後の脳循環動態,特に脳血管攣縮に関連した脳虚血について考察を加える.
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