文献詳細
文献概要
解剖を中心とした脳神経手術手技
前方からの頸髄除圧を目的としたMultiple subtotal somatectomy
著者: 小島精1 和賀志郎1 久保和親1
所属機関: 1三重大学脳神経外科
ページ範囲:P.117 - P.123
文献購入ページに移動頸椎症3-6)および後縦靱帯骨化症(OPLL)1,2,7,10,12),また両者の合併によるmyelopathyに対する治療は古くから議論の多いところである.頸椎症とOPLLの成因は全く異なり,両者を同一に論ずるには問題が多いが,さらに病態を把握する際には,頸椎管が発達異常により狭い場合,逆に広い場合,頸椎の前屈,後屈といった可動性に伴う頸髄の前後への動き,椎間板膨隆の程度,黄靱帯による後方からの圧迫の程度,椎体の不安定性に基づくpincer mechanismなどの多くの因子を考慮せねばならない.しかし頸椎症は頸椎管外前方から,OPLLは頸椎管内前方から頸髄を圧迫,神経症状をきたすという病態であり,いずれにしろ主病変は頸椎管前方に存在する.頸椎症およびOPLLによるmyelopa—thyの治療に関しては保存的療法,特に整形外科領域においては牽引療法,温熱療法が好んで用いられている8,9).われわれは保存療法に反応せず,またMRI,脊髄撮影およびその後のCTで神経学的高位レベルに一致する脊髄圧迫所見を認めた場合を手術治療の適応としている.
頸椎および頸椎管内の病変に対する手術には主に前方到達法と後方到達法が用いられており,各々脊髄の除圧を目的とした術式,神経根の除圧を目的とした術式がある.
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