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研究
カルモジュリン阻害剤によるACNU耐性克服の可能性
著者: 吉田達生1 清水恵司1 最上平太郎1 坂本幸哉2 栄川隆信3
所属機関: 1大阪大学脳神経外科 2大阪大学癌研究施設 3大阪大学第3内科
ページ範囲:P.143 - P.149
文献購入ページに移動悪性腫瘍に対する化学療法のなかで最も問題となるのが抗癌剤耐性の問題であり,ここ数年の間に脳腫瘍の化学療法における抗癌剤耐性もにわかに注目されはじめ,特にニトロソウレア系抗癌剤ACNUに対する耐性に関してようやく知見が得られる段階に至っている1,5,7,12,14,17).しかし.現時点ではその耐性機構あるいは治療法に関して統一した見解は得られていない.一方,われわれはこれまでにカルシウム拮抗剤あるいはreserpineがACNU耐性glioma細胞においてACNUの作用を増強することを発見し,その機序が細胞膜におけるカルシウム代謝と関連があることを報告してきた14-17).そこでわれわれは,ACNU耐性と細胞膜におけるカルシウム代謝との関係に着目し,細胞内あるいは細胞膜において直接カルシウム代謝を調節する機能蛋白であるカルモジユリンと抗癌剤耐性との関係をカルモジュリン阻害剤を用いて調べ,ACNU耐性脳腫瘍細胞における耐性機構おにびその克服の可能性を検討した.
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