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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科15巻2号

1987年02月発行

文献概要

研究

外傷性脳損傷に対するイオン・ブロッカーの脳保護作用—実験的研究

著者: 佐々木司12 間中信也1 高倉公朋1

所属機関: 1東京大学脳神経外科 2現籍 自衛隊中央病院脳神経外科

ページ範囲:P.151 - P.156

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I.緒言
 頭部外傷に虹る脳損傷は,第一に,受傷時に生しる機械的作用による組織学的破壊を伴う損傷であり,その程度は作用する物理的エネルギーによって決定され,治療の対象となりにくい.しかし,この障害を免れた脳組織も,やがて引き起こされる一連の二次的細胞障害反応により損傷され,より広範な障害を被ることになる.この反応をいかに少なく抑えるかに外傷治療の主眼が置かれているのであるが,いまだ決め手となる治療法は確立されていない,外傷による二次的細胞障害反応として,血管障害を介しての虚血性障害,その原因ともなり得る細胞膜障害,特にarachidonate metabolismの一連の反応,脳浮腫などが考えられている9,12).しかし,これらの反応の起こる前に,外傷直後より,脳細胞内外のでオン・バランスの変化が起こっていることが知られている.ことに,カリウム・イオンの細胞外への流出は著明で,この細胞外カリウムの上昇により神経細胞やグリア細胞の生理学的諸反応が障害きれることが報告されている3,4,11,12).われわれが今回用いたマウス頭部外傷性意識障害モデルにおいても,細胞外カリウム上昇が痙攣発生およびマウス死亡と密接に関連していることは,すでに報告した19).外傷直後より生じるでオン・バランスのもう1つの変化として,最近,カルシウム・イオンの細胞内流入が重視されるようになってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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