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研究
カルモジュリン阻害剤によるACNU耐性グリオーマの治療
著者: 吉田達生1 清水恵司1 早川徹1 最上平太郎1 坂本幸哉2 栄川隆信3
所属機関: 1大阪大学脳神経外科 2大阪大学癌研究施設 3大阪大学第3内科
ページ範囲:P.261 - P.267
文献購入ページに移動悪性脳腫瘍における抗癌剤耐性の問題は,化学療法などの発達により患者の生存期間が延長するに伴い,極めて重要な課題となってきたにもかかわらず,これに対する有効な治療法は確立されていないのが現状である8).われわれはこれまで,グリオーマにおけるACNU耐性の研究のなかで,耐性の機序が細胞膜におけるカルシウム代謝と関連があることを示唆してきた11-14).特に細胞内あるいは細胞膜においてカルシウム代謝を調節していると考えられるカルモジュリン7)の機能を阻害することにより,ACNU耐性脳腫瘍細胞における細胞内ACNU濃度が高まり,in vitroにおけるACNUの作用が増強されることを発見した15).今回は,カルモジュリン阻害剤であるtrifluoperazineを用いて,そのinvivoにおけるACNUの作用増強効果を調べるとともに,ACNU耐性グリオーマに対する新しい治療法としての可能性を検討した.
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