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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科15巻3号

1987年03月発行

文献概要

症例

総頸動脈分枝部に潰瘍性病変を有し,Proatlantal intersegmental arteryを介して椎骨脳底動脈系の一過性脳虚血発作をくり返した1症例

著者: 田中秀樹13 高橋宏1 石島武一1 臼井雅昭2

所属機関: 1東京都立神経病院脳神経外科 2東京大学脳神経外科 3現籍 東京都立駒込病院脳神経外科

ページ範囲:P.341 - P.347

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I.はじめに
 proatlantal intersegmental arteryは,胎生期に存在する頸動脈・椎骨脳底動脈吻合(carotid-vertebrobasilaranastomoses)の一つであるが,本吻合の遺残症例の報告は少なく,極めて稀と考えられる.一般に頸動脈・椎骨脳底動脈吻合遺残は,それ単独では無症状のことが多いが,脳動脈瘤の発生を認める場合4),近傍の神経圧迫症状の原因となる場合11),同側の頸動脈の狭窄・潰瘍性病変を合併する場合5,21,25)などに臨床上の意義を有すると考えられる.
 今回われわれの経験した症例は,椎骨脳底動脈領域の一過性脳虚血発作をくり返したが,proatlantal interseg—mental arteryと同側の総頸動脈分枝部の潰瘍性病変が原因の微小塞栓症と考えられ,頸動脈血栓内膜切除術後発作消失した.本症例は,proatlantal intersegmentalarteryが実際に臨床症状発現に関与した最初の症例と考えられる.一方,文献上trigeminal artery, hypoglossalarteryでは,同側の頸動脈病変を合併した症例の報告が散見される21,25).これらの報告の検討とともに,proa—tlantal intersegmental arteryの発生などに関し若干の文献的考察を加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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