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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科15巻4号

1987年04月発行

文献概要

機熟す—日本脊髄外科研究会のこと

著者: 長島親男1

所属機関: 1埼玉医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.355 - P.356

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 昭和40年,1965年に制定された医療法第70条によれば,わが国の脳神経外科の定義は,「脳・脊髄および末梢神経に関する外科」である.この脊髄に関する外科については,どの国でもそうであったが,古くから脊柱・脊髄はともに整形外科が扱ってきて,このうちの脊髄は徐々に神経外科にシフトしてきたのである.筆者が1963年,米国でのレジデント生活をおえて帰国するとき,恩師のScoville教授,Whit—comb教授は「日本でも脊髄,神経根,末梢神経は神経外科医が扱うべきである.米国では,整形外科からこれらを神経外科へもってくるのに10年かかった.お前も日本に帰って10年は辛抱強く,地道に勉強して,整形外科より優れた成績を発表しながら,神経外科がこれらの手術をするように努めてはどうか.これは大事業だが,成功を祈っている」とのはなむけの言葉をもらった.
 帰国後,精力的に頸椎症性ミエロパチーやラジクロパチーにScovilleの手術を行ったところ,整形外科医長から猛烈な抗議をうけた.いわく,「脊椎・脊髄は整形外科が発展させた領域だ.素人の脳外科医の介入は即刻やめよ」,いわく,「脊椎の構築を何と心得ている.ラミネクトミーを広範にやり,かつファセテクトミーもやって,しかもギプスもあてない.そんな無茶なことは絶対に許せない.断じてやってはならぬ」etc, etc.また学会でもそうであった.「長島は,神経のためには脊柱の支持性を無視した手術を平気でやっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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