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研究
二次元脳電図からみた小児脳膿瘍
著者: 河村弘庸1 梅沢義裕1 天野恵市1 谷川達也1 川畠弘子1 岩田幸也1 平孝臣1 喜多村孝一1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
ページ範囲:P.381 - P.387
文献購入ページに移動脳膿瘍は炎症性病変であると同時に頭蓋内占拠性病変でもあり,その病態は他の占拠性病変に比べ複雑である.膿瘍自体のmass effectばかりでなく,炎症が周囲の脳組織に及ぼす影響も大きく,その病的過程の変化は脳腫瘍に比べはるかにdynamicである.炎症の初期,極期,消退期に従い脳膿瘍による脳の機能障害の程度はその時間の経過とともに推移する.したがって,このようなdynamic processを呈する脳膿瘍における脳波の変化もまた複雑多岐にわたり,徐波焦点の局在ばかりでなく,alpha波, beta波などの頭皮上分布も脳膿瘍の各時期により異なる.従来から脳膿瘍の特徴的な脳波所見としてfocal slow wave, focal flatteningなど1,3,4)が報告されているが,通常の脳波記録からこれらの変化を経時的,定量的に読み取ることは困難であった.
そこで,著者らは二次元脳電図を用いて,脳膿瘍における脳波の経時的,定量的分析を行い,徐波およびalpha波の頭皮上分布とCT像からみた脳膿瘍の局在,mass effect,脳浮腫などの形態的変化とを比較検討した.
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