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症例
頭蓋外内頸動脈閉塞に同側の頭蓋内内頸動脈瘤を合併した1例
著者: 丹野裕和1 山上岩男1 小野純一1 須田純夫1 岡陽一1 磯部勝見1
所属機関: 1君津中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.411 - P.416
文献購入ページに移動閉塞性脳血管病変に脳動脈瘤が合併することは少なくない.そのなかには,脳主幹動脈の閉塞によって血行動態が変化し,その結果生じたhemo—dynamic stressの増大が脳動脈瘤の発生,破裂に関与したのではないかと考えられる揚合がある1,6,9,18,23,26,27).閉塞性脳血管病変のなかでも,一側または両側内頸動脈の閉塞8,9,21)や形成不全,欠損1,5,11,12,14,19,20,22,25,28)と脳動脈瘤の合併については数多くの報告がある.そして,この場合の脳動脈瘤はほとんど,脳底動脈系,前交通動脈あるいは閉塞と反対側内頸動脈系に存在し,脳動脈瘤の突出する方向は,通常の脳動脈瘤と一致している.
最近われわれは,頭蓋外で閉塞した内頸動脈の後交通動脈接合部において,前方に突出した破裂脳動脈瘤の1例を経験した.その存在部位,突出方向は,これまでの一側内頸動脈閉塞と脳動脈瘤の合併例に比し極めて特殊であり,閉塞側内頸動脈系の血流を保持すべく発達した後交通動脈のhemodynamic stressが,脳動脈瘤の発生破裂に直接関与した可能性が示唆されたので報告する.加えて,脳動脈瘤の発生機序,脳主幹動脈閉塞との関連について文献的考察を含め検討した.
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