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症例
Brown-Séquard症候群を呈した外傷性脊髄くも膜下血腫の1例
著者: 森宏13 寺林征1 北沢智二1 杉山義昭1 塚田泰夫2
所属機関: 1富山県立中央病院脳神経外科 2富山県立中央病院神経内科 3現籍 新潟県立中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.427 - P.432
文献購入ページに移動脊柱管内血腫,とりわけ脊髄くも膜下血腫は極めて稀な病態で,これまでにいわゆる特発性7,13)の他に,出血傾向を有する患者への軽微な外傷や腰椎穿刺後2,11,14,16),結節性多発動脈炎4,6),脊髄血管腫6)あるいは腕神経叢の引き抜き損傷に伴った1例17)などの報告が散見されるに過ぎない.一方Brown-Séquard症候群は,脊髄半側切断症候群として,硬膜内髄外病変では髄膜腫,神経鞘腫などの腫瘍性疾患が原因疾患として指摘されている1,3,5).
今回われわれは,何ら基礎疾患を有さず,頸部の過伸展損傷後に頸椎損傷も伴わずに,上位頸髄レベルのBrown-Séquard症候群を呈した外傷性脊髄くも膜下血腫の1例を経験した.このような症例の報告は,われわれが渉猟し得た範囲では1例も見当たらず,極めて稀と思われたので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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