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総説
CRF(Corticotropin-releasing factor)を中心とする最近の知見
著者: 田中孝司1 渡部敏雄2 熊谷宗士2 伊藤祐子2 清水直容2
所属機関: 1帝京大学第1内科 2帝京大学第3内科
ページ範囲:P.473 - P.483
文献購入ページに移動corticotropin-releasing factor(CRF)は視床下部で産生され,下垂体門脈を経て脳下垂体のadrenocorticotropic hormone(ACTH)産生細胞に作用してACTHの合成分泌を促進する因子である.ACTHはpro-opiomelanocortin(POMC)という前駆体の形で生合成されるが,CRFはPOMCに含まれる他のpeptide,すなわちendorphin,lipotropin,melanotropinやN-terminal peptideの分泌も促進する2,7,29,39,56,58,85).その化学構造は最近になってようやく決定されたが,以来,合成CRFを用いてCRFやACTHの合成,分泌調節に関する研究,視床下部—下垂体—副腎皮質系の生理学的研究,さらには臨床的応用がなされて,この分野の研究に急速な進歩が見られる.次に述べるようにヒツジCRFが最初に発見されたため今までの研究の多くはヒツジCRFを用いたものである.最近になってヒトCRFが臨床にも用いられるようになったが,現在のところまだ診断薬としては市販されていない.本稿ではCRFに関する今までの研究のうち主として臨床応用に関するものをとりあげて概説してみた.
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