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集中連載 MRI診断・2
脳腫瘍のMRI診断
著者: 町田徹1
所属機関: 1東京大学放射線科
ページ範囲:P.485 - P.492
文献購入ページに移動I.はじめに
近年におけるMRIの進歩は目覚ましく,脳腫瘍に関する報告も極めて多い.しかし稼動台数もX線CTの数十分の一であり,なおかつ検査時間の比較的長いMRIにおいては,X線CTで異常を指摘された例が検査件数の大半を占めているのが実情であろう.したがってX線CT登場の時と同じような新鮮な驚きには乏しいというのがユーザーの正直な感想ではなかろうか.特に脳腫瘍を対象とした場合には,CT,脳血管造影などでほぼ術前診断が決定されている例が多く,MRIならではという症例は少ない1脳腫瘍例にMRIを施行する意義は,MRIによるプラス・アルファの情報をいかにして診断および手術に役立てうるかにあるといえよう.またMRIにおける正常組織と腫瘍組織のコントラストは一般に非特異的で,腫瘍の質的診断には役立たぬことが多い.さらに緩和時間などのパラメータを測定しても質的診断には無効であり,だいいち生体内の緩和時間の測定そのものが装置,静磁場強度による影響を強く受け,全く普遍的ではない.
しかしMRIの利点についても,X線CTとの比較という観点からのみでなく,MRI単独でも十分に論じられねばならない.
近年におけるMRIの進歩は目覚ましく,脳腫瘍に関する報告も極めて多い.しかし稼動台数もX線CTの数十分の一であり,なおかつ検査時間の比較的長いMRIにおいては,X線CTで異常を指摘された例が検査件数の大半を占めているのが実情であろう.したがってX線CT登場の時と同じような新鮮な驚きには乏しいというのがユーザーの正直な感想ではなかろうか.特に脳腫瘍を対象とした場合には,CT,脳血管造影などでほぼ術前診断が決定されている例が多く,MRIならではという症例は少ない1脳腫瘍例にMRIを施行する意義は,MRIによるプラス・アルファの情報をいかにして診断および手術に役立てうるかにあるといえよう.またMRIにおける正常組織と腫瘍組織のコントラストは一般に非特異的で,腫瘍の質的診断には役立たぬことが多い.さらに緩和時間などのパラメータを測定しても質的診断には無効であり,だいいち生体内の緩和時間の測定そのものが装置,静磁場強度による影響を強く受け,全く普遍的ではない.
しかしMRIの利点についても,X線CTとの比較という観点からのみでなく,MRI単独でも十分に論じられねばならない.
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