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研究
結合型EstrogenによるChemical embolization—第1報 40例の臨床経験
著者: 長嶺義秀1 鈴木二郎1 清水幸彦1 藤原悟1 高橋明1
所属機関: 1東北大学脳研脳神経外科
ページ範囲:P.503 - P.510
文献購入ページに移動硬膜動静脈奇形の治療および術中大量出血の予想される髄膜腫に対する術前処置として,われわれは結合型estrogenを用いたchemical embolizationをすでに報告してきた4,7,8,11-13).本法の由来は,当教室の小松が行った慢性硬膜下血腫の成因とestrogenとの相関関係を探究した際の動物実験で,estorgenが脳硬膜の循環障害を発生させるとの知見6)を得たことに始まり,硬膜動静脈奇形に対し流入動脈から水溶性のestrogenを直接注入することにより選択的にnidusを閉塞できるのではないかという発想によるものである12).1976年以来,本法による頭蓋外および硬膜外での臨床経験は40例となり,対象疾患も硬膜動静脈奇形,髄膜腫のほか,外頸動脈系より栄養される腫瘍性病変や血管性病変に適応が拡がってきている.今回は本法による臨床経験40例の治療成績をまとめて報告する.
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