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聴神経腫瘍・聴力保存例の特徴と治療方針
著者: 森田明夫14 福島孝徳1 宮崎紳一郎1 玉川輝明1 清水庸夫2 厚地政幸3
所属機関: 1三井記念病院脳神経外科 2関東脳神経外科病院 3厚地脳神経外科病院 4現籍 富士脳障害研究所附属病院脳神経外科
ページ範囲:P.821 - P.829
文献購入ページに移動microsurgeryの導入,手術テクニックの進歩により聴神経腫瘍の手術は極めて安全に行われるようになり,腫瘍全摘出および顔面神経温存に関してすぐれた成績が報告されてきた14,17,18,26,28,30,33).しかるに,最近では欧米を中心に直径1-2cmの小さな聴神経腫瘍の手術成績・聴力温存の報告がなされつつある1-3,9,12,13,17,23,28,33,32).本邦においては,現在でも聴神経腫瘍を論じる際には径2-3cm以上の大きな腫瘍の議論が中心であり,聴力温存の報告は少ない30).われわれは過去5年間に43例の聴神経腫瘍に対し手術を行ったが,術前聴力が保存されている症例を10例経験した.そのうち腫瘍の大きさが4cm未満であった6例について聴力を温存するよう試みた.今回はこの結果を報告し,術前にはどのような症例で聴力が保存されており,手術に際していかなる点に注意すれば聴力を保存しうるかについて考察したい.
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