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症例
穹窿部髄膜腫を合併した早老症(Werner症候群)—病理組織学的検討
著者: 森本一良1 吉峰俊樹1 斎藤洋一1 山田正信1 最上平太郎1 山形知2 宮川潤一郎2
所属機関: 1大阪大学脳神経外科 2大阪大学第2内科
ページ範囲:P.877 - P.882
文献購入ページに移動老化は中枢神経系の胎生期に由来する発達プログラムによるとされ,早老症はこの正常老化の形質表現が促進されたものと定義されている.早老症候群のうち,常染色体性劣性の遺伝形式をとるWerner症候群は,1981年までに本邦では195例が集計されており4),本症候群に合併する線維肉腫,髄膜腫のほか,癌,白血病の発生との関連が注目されている5-7).しかしながら本症候群の本態はなお不明な点が多く,合併する髄膜腫を外科的に摘除した報告は1953年Mogensenと1980年Kobayashiらによる2例と少ない7-9).今回私たちは,39歳の女性においてWerner症候群に合併した右頭頂穹窿部髄膜腫を全摘出する機会を得た.近年Werner症候群における結合組織代謝に関する研究も進められており,本症例では摘出腫瘍の病理組織学的検索で腫瘍内結合組織の増殖がみられた.さらに私たちは本症例で電顕像の観察と免疫組織学的検索もあわせて行ったのでWerner症候群に合併した髄膜腫の文献的考察を加えて報告する.
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