Neurological Surgery 脳神経外科15巻8号

1987年08月発行

症例

脳保護物質投与下に動脈瘤柄部切除，内頸動脈端々吻合を行った頸部内頸動脈瘤の1例

著者： 渡辺孝男¹ 村石健治² 鈴木二郎²

所属機関： ¹米沢市立脳神経外科 ²東北大学脳研脳神経外科

ページ範囲：P.893 - P.899

I．はじめに
　非外傷性の頸部内頸動脈瘤は比較的稀な疾患である^6,8,11）．本症の場合，動脈瘤柄部が内頸動脈近位側にある場合には根治手術の適応となるが，動脈瘤が大きい場合には手術操作に困難を伴うことが多い．
　われわれは，頸部内頸動脈近位側に柄部をもつ約4×5×5cmの動脈瘤に対し，脳保護剤（mannitol, dexamethasone，vitamin E）^20,21）併用投与により血管遮断時間の延長をはかり，動脈瘤柄部切除，内頸動脈端々吻合を行い根治し得た1症例を経験したので報告する．