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症例
家族性脳動脈瘤—自験例8家系,20症例の報告と文献的検討
著者: 府川修1 相原坦道1
所属機関: 1市立総合磐城共立病院脳神経外科
ページ範囲:P.911 - P.919
文献購入ページに移動脳動脈瘤の家族内発生については,これまでその血縁関係,脳動脈瘤の発生部位,多発率,男女比,発症時年齢,血縁関係者間での発症時年齢差などの検討から,通常の脳動脈瘤と異なる特徴を有することが指摘され4,5,10,22,26,29,49),先天的あるいは遺伝的要因の関与についても論及されている6,8,10,18,20,26,36,44,56,59).一方,同一施設における多家系,多症例の報告は少なく1,60,65),全脳動脈瘤症例に対する家族発生例の頻度,あるいは同胞例,親子例における脳動脈瘤の発生率の予測20,25)などについては,これまで十分検討されていない.すなわちこれらの点がある程度知り得れば,脳動脈瘤の家族発生例を経験した場合,その家系においてさらに隠れた症例を発見し,くも膜下出血を未然に防止することも可能になると考えられることから,自験例の8家系20症例を,従来の報告例および当科で経験した非家族性脳動脈瘤症例と比較しつつ,家族性脳動脈瘤の特徴と問題点につき,文献的考察を加えて報告する.
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