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症例
心房性ナトリウム利尿ホルモンが高値を示した低ナトリウム血症の2例—Cerebral salt wastingの概念をふまえて
著者: 山本直人1 宮本法博2 妹尾久雄2 松井信夫2 桑山明夫3 寺島圭一3
所属機関: 1中濃病院脳神経外科 2名古屋大学環境医学研究所,内分泌代謝部門 3名古屋大学脳神経外科
ページ範囲:P.1019 - P.1023
文献購入ページに移動中枢神経疾患に低Na血症を伴うことは,よく知られており,その多くが,抗利尿ホルモン(ADH)分泌不適合症候群(syndrome of inappropriate secretion of ADH:SIADH15)として説明されている.一方,ADHが高値を示さず,原因物質は不明であるが,腎よりのnat—riuresisのみが亢進している,いわゆるcerebral saltwasting14)の病態を呈する症例も存在し,この両者は,治療方針が異なるため,その診断・治療に苦慮する場合にしばしば遭遇する.
近年,心房由来のホルモンとして中枢神経系にもその存在が確認された心房性ナトリウム利尿ホルモン2,4)(atrial natriuretic polypeptide:ANP)のradioimmuno—assayが可能となり,われわれは,頭蓋内病変を伴う低Na血症の患者で,このANPが高値を示し,Na負荷により症状の改善を認めた症例を経験したので,従来のcerebral salt wastingの概念をふまえ,若干の文献的考察を加え報告する.
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