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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科16巻1号

1988年01月発行

文献概要

研究

サル中脳被蓋腹内側部,振戦誘発部位の解剖学的検討—HRP法による

著者: 高橋敏夫1

所属機関: 1弘前大学脳神経外科

ページ範囲:P.31 - P.38

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I.緒言
 カナダのPoirierを中心とするグループの研究24,26,27)により,サルにおいて実験的に振戦を作り出すのに,中脳の赤核と黒質の問で,被蓋腹内側部(VMT:ventromedial tegmental area of Tsai)に限局した比較的小さな破壊巣が最も有効であることが示された.さらに,大江18-22)らは,人間の定位脳手術法を応用した脳室造影と電気生理学的方法を利用して赤核を同定し,その下縁を中心に凝固巣を作成することで,サルにおいて自発性振戦をより高率に作りだすことに成功した.しかし,振戦との関連において,サルの中脳被蓋腹内側部に含まれる神経路についての研究報告は,意外に少ない10,11).今回,サルおよびネコの中脳被蓋腹内側部にHRP(horseradish peroxidase)を注入し,主に逆行性輸送により標識された細胞の分布を調べ,この領域を通過する神経路について振戦との関連で検討を行った.
 なお,本文および図の中で用いた神経核の分類と略語などは,サルの視床についてはOlszewski23)の図譜を,その他についてはShanta3i),Kusama5)の図譜とNiimi17)の論文を参考にした(Table 1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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