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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科16巻10号

1988年09月発行

文献概要

研究

腰部クモ膜下腔圧持続測定による髄液短絡術適応の決定—各種正常圧水頭症を中心に

著者: 平井収1 半田肇1 菊池晴彦2 石川正恒2 絹田祐司2

所属機関: 1浜松労災病院脳神経外科 2京都大学脳神経外科

ページ範囲:P.1141 - P.1147

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I.はじめに
 いわゆる正常圧水頭症(NPH)も頭蓋内圧を持続的に測定すると,圧波が認められたり,基本圧も上昇していたりする場合があり,こうした症例に髄液のシャント手術が有効であるという報告は多い4,5,11,15,16,21,22)しかし頭蓋内圧上昇そのものが患者の生命予後を左右するほどではない本疾患においては,単に検査のためだけに穿頭術を行うのはためらわれることが多いのも現実であろう.
 頭蓋内占拠性病変がなければ狭義の頭蓋内圧である脳室内圧と腰部クモ膜下腔圧はほぼ同じであることは以前から報告があるが11,19),われわれも実験的に静水圧のみが上昇する病態では腰部クモ膜下腔圧は硬膜外圧とよい相関を示すことを明らかにした13).NPHも腰椎穿刺で脳ヘルニアを起こす危険はまずないといえるので,今回はシャント手術適応決定を目的としての持続腰部クモ膜下腔圧測定の臨床的評価を行った.また従来の報告は全ての症例にシャント手術を行い,効果の予測因子を検索したものが多かったが,本研究ではいろいろな理由でシャント手術を行わなかった症例の長期予後も同時に検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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