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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科16巻11号

1988年10月発行

文献概要

研究

クモ膜下出血後の髄液中Mg濃度の変化と脳血管平滑筋収縮に対するMgの効果

著者: 三浦一之1

所属機関: 1岩手医科大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.1251 - P.1259

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I.はじめに
 血管平滑筋の収縮において,細胞外Caの流入及び細胞内のsarcoplasmic reticulum(SR)からのCa遊離の重要性が注目されている,細胞外からのCa流入を抑制する有機Ca拮抗剤の登場以前から,シナプス伝達においてはMgがCaと競合し,Caの流入を抑制することが知られていた9).冠状動脈においては,MgがCaに対して生理的に拮抗していることが報告されている2).脳表の主幹動脈は直接髄液に接しているが,髄液のMg濃度は生理的に血清値よりも幾分高く保たれている(CSF/Serum=1.3)6).クモ膜下出血後には髄液循環の障害やBlood-Brain Barrierの透過性の亢進14)などが生じ,髄液のMg濃度にも変化が起こりうると推測されるが,この点に関した報告はなく,又,Oxy—Hbによる脳血管平滑筋の収縮能に対するMgの効果についても知られていない.そこで,クモ膜下出血急性期の髄液中Mg,Ca濃度の変動を臨床的に追求し,一方,実験的に外液のMg,Ca濃度を変化させた際に脳血管平滑筋の収縮能がどのように影響されるかを観察し,その原因及び効果発現機構について考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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