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研究
クモ膜下出血後の髄液中Mg⧺濃度の変化と脳血管平滑筋収縮に対するMg⧺の効果
著者: 三浦一之1
所属機関: 1岩手医科大学脳神経外科学教室
ページ範囲:P.1251 - P.1259
文献購入ページに移動I.はじめに
血管平滑筋の収縮において,細胞外Ca⧺の流入及び細胞内のsarcoplasmic reticulum(SR)からのCa⧺遊離の重要性が注目されている,細胞外からのCa⧺流入を抑制する有機Ca⧺拮抗剤の登場以前から,シナプス伝達においてはMg⧺がCa⧺と競合し,Caの流入を抑制することが知られていた9).冠状動脈においては,Mg⧺がCa⧺に対して生理的に拮抗していることが報告されている2).脳表の主幹動脈は直接髄液に接しているが,髄液のMg⧺濃度は生理的に血清値よりも幾分高く保たれている(CSF/Serum=1.3)6).クモ膜下出血後には髄液循環の障害やBlood-Brain Barrierの透過性の亢進14)などが生じ,髄液のMg⧺濃度にも変化が起こりうると推測されるが,この点に関した報告はなく,又,Oxy—Hbによる脳血管平滑筋の収縮能に対するMg⧺の効果についても知られていない.そこで,クモ膜下出血急性期の髄液中Mg⧺,Ca⧺濃度の変動を臨床的に追求し,一方,実験的に外液のMg⧺,Ca⧺濃度を変化させた際に脳血管平滑筋の収縮能がどのように影響されるかを観察し,その原因及び効果発現機構について考察した.
血管平滑筋の収縮において,細胞外Ca⧺の流入及び細胞内のsarcoplasmic reticulum(SR)からのCa⧺遊離の重要性が注目されている,細胞外からのCa⧺流入を抑制する有機Ca⧺拮抗剤の登場以前から,シナプス伝達においてはMg⧺がCa⧺と競合し,Caの流入を抑制することが知られていた9).冠状動脈においては,Mg⧺がCa⧺に対して生理的に拮抗していることが報告されている2).脳表の主幹動脈は直接髄液に接しているが,髄液のMg⧺濃度は生理的に血清値よりも幾分高く保たれている(CSF/Serum=1.3)6).クモ膜下出血後には髄液循環の障害やBlood-Brain Barrierの透過性の亢進14)などが生じ,髄液のMg⧺濃度にも変化が起こりうると推測されるが,この点に関した報告はなく,又,Oxy—Hbによる脳血管平滑筋の収縮能に対するMg⧺の効果についても知られていない.そこで,クモ膜下出血急性期の髄液中Mg⧺,Ca⧺濃度の変動を臨床的に追求し,一方,実験的に外液のMg⧺,Ca⧺濃度を変化させた際に脳血管平滑筋の収縮能がどのように影響されるかを観察し,その原因及び効果発現機構について考察した.
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