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症例
静脈洞閉塞を伴う硬膜動静脈奇形に対するvein graftを用いた静脈還流再建術
著者: 丹羽潤12 大滝雅文1 森本繁文1 中川俊男1 端和夫1
所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科 2現籍 市立函館病院脳神経外科
ページ範囲:P.1273 - P.1280
文献購入ページに移動横静脈洞あるいはS状静脈洞の硬膜動静脈奇形は,最近病因論的にみて静脈洞の閉塞が原因となって2次的に発生した後天性疾患であるとする考えが有力である2,3,7).またこれらの症例の中に著明な頭蓋内圧亢進をみることがある.このような場合には同側の静脈洞の閉塞と反対側の静脈洞に閉塞あるいは低形成がみられ静脈還流が高度に障害されているのが普通である5,11,18).頭蓋内圧が亢進している症例に対する治療は,従来の流入動脈の閉塞や静脈洞を含めた硬膜動静脈奇形の摘出では根本的な治療とはなりえず静脈還流路の再建が必要と考えられる.
われわれは頭蓋内圧亢進と意識障害を呈したS状静脈洞閉塞を伴う硬膜動静脈奇形2例に対して横静脈洞と頸部静脈間にbypassを設置し,静脈還流の再建を行ったので手術方法を中心に報告する.
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