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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科16巻11号

1988年10月発行

文献概要

症例

前頭蓋底部dumbbell腫瘍の手術術式—olfactory neuroblastomaの1例

著者: 川上勝弘1 山内康雄1 藤原浩章1 河本圭司1 河村悌夫1 松村浩1

所属機関: 1関西医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.1317 - P.1321

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I.はじめに
 前頭蓋底に発生する腫瘍としては,髄膜腫をはじめ,癌腫,悪性リンパ腫など種々のものが挙げられ,通常これらの病変に対しては両側前頭開頭を行い,硬膜内や硬膜外から進入する方法がとられている.しかしながら前頭蓋底を破壊し,頭蓋内外へ大きくdumbbellに伸展した場合には,充分な術野を確保するために相当な脳実質の圧排が必要とされることが多い.一方,前頭蓋底病変に対する下方(鼻腔内)からのアプローチとしては,Har—dy's operationに準じた術式も可能であるが,腫瘍を全摘するのは難しく,さらに頭蓋底を再建することは困難であることが多い.このような前頭蓋底から生じ,頭蓋内外に伸展したdumbbell腫瘍に対して,われわれはDeromeら3)のtransbasal approachを修正した術式を試みている.すなわち両側の前頭開頭を行った後,両側眼窩上壁と前頭洞を一塊として骨切りする方法で,これにより広い術野の確保が可能である.本法では,脳に対する圧排が最小限となり,腫瘍の摘出も容易であるため,確実な頭蓋底の再建も可能である.さらに頭蓋外の下方伸展の著明な場合には,鼻腔内からも二期的にアプローチし,残存腫瘍を摘出している.今回,前頭蓋底部のdumbbell腫瘍のうち,巨大なolfactory neuroblastomaの1例を呈示し,われわれの手術術式を紹介するとともに,頭蓋底再建に関して文献的考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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