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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科16巻12号

1988年11月発行

文献概要

研究

慢性硬膜下血腫の術後消退に影響を及ぼす血腫側因子についての検討—脳萎縮の与える影響を中心に

著者: 永田和哉1 浅野孝雄1 馬杉則彦2 丹後俊郎3 高倉公朋4

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター脳神経外科 2関東労災病院脳神経外科 3国立公衆衛生院疫学部 4東京大学脳神経外科

ページ範囲:P.1347 - P.1353

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I.はじめに
 慢性硬膜下血腫に対する治療法は,小開頭もしくは穿頭による血腫洗浄及びドレナージなど確立した感がある.しかし臨床上術後の血腫の消退速度には明らかに個人差があり,場合によっては再開頭を余儀なくされる場合もある.どのような因子が消退速度に影響を及ぼすかについては過去に多くの研究者が検討を重ねてきたが1,3,5,8-11,19,20,30),未だに明確な結論が得られていないのが現状である.その原因の一つとして血腫量の消退速度を定量的に計測する方法が従来なかった点が挙げられる.今回われわれはコンピューターを用いてCTから経時的に血腫残量を測定し,血腫の消退速度を定量的に求める手法を開発した.この手法を用いて慢性硬膜下血腫の消退に及ぼす諸因子の影響を検討し,いくつかの興味深い知見を得た.本稿ではそのうち主として血腫の術前因子,即ち患者の年齢,血腫量,血腫のCTナンバー,受傷から発症までの期間,及び脳萎縮が血腫消退に及ぼす影響について報告したいと思う.特に脳萎縮については従来の脳神経外科医の常識を覆す結果が得られたので,その原因についても併せ考察を加えたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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