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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科16巻2号

1988年02月発行

文献概要

研究

Oxy-Hbにより発生する脳血管攣縮の発生機序について—特にnicardipine, procaine, indomethacinなどの抑制効果からみた分析

著者: 土肥守12

所属機関: 1岩手医科大学脳神経外科教室 2岩手医科大学第一生理学教室

ページ範囲:P.123 - P.130

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I.はじめに
 くも膜下出血後の脳血管攣縮の原因物質として,Serotonin2),Norepinephrine2),Oxy-hemoglobin(Oxy—Hb)8,19),K+ion16)などが検討されてきた.そのなかでも,Oxy-Hbは,くも膜下出血後の患者の髄液中に,脳血管攣縮の時期に一致して上昇し3,8),実験的に脳血管の強い収縮作用を認めることから1,19),われわれは,最も有力な攣縮物質であると考えてきた.しかし,Oxy—Hbのspasmogenicなactionは,多くの研究から明らかにされてきているものの,その収縮発生機序については,わずかにFujiwara6)や岡本12)がProstaglandins(PG's)の関与を実証しているにすぎず,その本態についての解明は充分とはいえない.一方,血管平滑筋の収縮にも,細胞外Ca++細胞内流入や細胞内Ca++貯蔵部位からのCa++の放出によるCa++濃度の増加が,重要かつ必要不可欠であることが報告されている7).われわれは,くも膜下出血後に起こる脳血管攣縮は,少なくともその初期像では血管収縮によるという立場に立ち,血管平滑筋細胞内のCa++イオン動態から,ウシ中大脳動脈ラセン状標本を用いて,Oxy-Hbで起こる収縮の発生機序の生理学的解析を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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