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研究
内頸動脈多発性狭窄症およびEC-ICバイパス術における脳血行動態のモデル解析
著者: 長澤史朗1 菊池晴彦1 大槻宏和1 森竹浩三1 米川泰弘2
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2国立循環器病センター脳神経外科
ページ範囲:P.267 - P.273
文献購入ページに移動虚血性脳血管障害は人口の高齢化とともに増加している.そのなかでも最近は内頸動脈の起始部狭窄症や多発性狭窄症の見いだされる頻度が増えており,これにより低灌流症状をきたす場合には種々の血行再建術が試みられてきた.しかしながらこれら症例における血行動態の把握あるいは血行再建術に伴う血行動態の予想や評価は,病変の数・部位や形状さらには側副血行などの要素が症例により異なり,かつ相互に複雑に関係しあっているため,十分にはなされていないのが現状である.たとえばEC-ICバイパス術の施行後に同側あるいは反対側の内頸動脈狭窄部の完全閉塞をきたした症例が報告されているが2,7,9),この成因についての詳細な血行力学的検討はなされていない.
このような問題に対処するには,これら諸要素を分けて検討することが必要であり,モデル実験はその有効な方法の一つと考えられる.従来より流体1,3,4,10,13),電気あるいは数学などを応用した脳血管モデルがいくつか考案されてきた.しかしこれらをそのまま応用するには種種の制限があるため,本研究ではまず新しく脳血管モデルを作製した.これを用いて一側あるいは両側性内頸動脈狭窄症の進行に伴う内頸動脈の流量や内圧の変化,大脳半球流量の変化,さらには狭窄性病変の除去やEC-ICバイパス路がこれら循環諸量に与える影響などについて検討したので報告する.
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