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症例
静脈洞交会部巨大髄膜腫の1手術成功例—術前後における静脈側副路の変動について
著者: 鈴木晋介1 溝井和夫1 加藤正哉1 鈴木二郎1
所属機関: 1東北大学脳研脳神経外科
ページ範囲:P.289 - P.294
文献購入ページに移動主要な静脈洞近傍より発生し,同部を圧迫浸潤し,ついには洞の狭窄ないし閉塞に至らしめる髄膜腫は,静脈圧勾配の変化のために,さまざまな側副路(accessoryvenous drainage)の発達により頭蓋内静脈灌流は変動して行くものである.
われわれは最近,静脈洞交会部下面に付着部を有し,同部が完全閉塞されたために,板間静脈,導出静脈,表在静脈,深部静脈などによるさまざまな静脈側副循環がみられた巨大な髄膜腫の1手術成功例を経験した.特に本例では,術後のfollow-up脳血管写にて,術前にみられたこれらの静脈側副路は消退し,硬膜静脈によると思われる新たなチャンネルが発達し,その静脈灌流動態がより正常に近い状態に復するといった所見が認められた.本症例は,脳静脈系の側副路が需要に応じてダイナミックに変化し得ることを示唆した興味ある症例と思われ,若干の文献的考察を加え報告する.
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