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症例
頭蓋外椎骨動脈および頸動脈狭窄に対し同時に血行再建を行った1症例
著者: 藤本俊一郎1 寺井義徳1 伊藤隆彦1
所属機関: 1香川労災病院脳神経外科
ページ範囲:P.305 - P.310
文献購入ページに移動Fieldsら5)は一過性脳虚血性発作を呈した316例のうちで64例(20%)が頸動脈系と椎骨脳底動脈系の両者に狭窄性病変を有していたと報告した.われわれの日常診療においても脳虚血性疾患に対する血管撮影で頸動脈系および椎骨脳底動脈系に多発性の狭窄性病変を認めることが多く,内科的治療が無効な場合,血行再建の方法に苦慮することが少なくない.
頸動脈系と椎骨脳底動脈系の両者に狭窄性病変があり,椎骨脳底動脈循環不全症を呈している症例では,頸動脈内膜剥離術のみで椎骨脳底動脈循環不全症が改善するという報告がある6,10,14).しかし,一方では効果がほとんどないとする報告もあり5,12),頸動脈内膜剥離術に対する一定の評価が得られていないのが現状である.そのため最近では,このような症例には,頸動脈系と椎骨脳底動脈系の両者に血行再建を行うという報告も散見される2-4,11,13).
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