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研究
孵化鶏卵漿尿膜移植法によるグリオーマ,転移性脳腫瘍に対する薬剤感受性テスト
著者: 中村治1 佐々木琢磨23 内田博之2 田中基裕2 遠藤良夫2 西川耕平2 松谷雅生1 高倉公朋4
所属機関: 1東京都立駒込病院脳神経外科 2国立がんセンター化学療法部 3金沢大学がん研究所化学療法部 4東京大学脳神経外科
ページ範囲:P.353 - P.357
文献購入ページに移動癌化学療法の進展に伴い,多くの抗癌剤が開発されているが,癌細胞のみに効果を発揮し,正常細胞には影響を及ぼさない理想的な抗癌剤はいまだ存在しない.抗癌剤の感受性は,癌発生臓器により一定の傾向を示すことが知られている.一方,germ cell tumorに対するPVB療法のように,化学療法の効果が予測可能な腫瘍の組織型は限局されているとともに,大多数の腫瘍に対する抗癌剤および併用化学療法の有効率は極めて低いのが現状である.この点に関しては脳腫瘍も例外ではなく,有効な抗癌剤と効果のない抗癌剤の種類を投与前に明確にすることは極めて重要である.
脳腫瘍に対する薬剤感受性テストとしては,C6などのラットglioma cellをラット頭蓋内に移植したモデルや,ヒトグリオーマを皮下に移植したヌードマウスなどが多用されている.今回われわれは孵化鶏卵漿尿膜に腫瘍を移植する方法9)に注目し,従来の方法に若干の工夫を加えることにより,本法の脳腫瘍薬剤感受性テストとしての有用性を検討した.
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