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くも膜下出血・脳動脈瘤
―研究―出血源不明のくも膜下出血の臨床的検討
著者: 京嶌和光1 岡田達也1 中洲敏1 松田昌之1 半田譲二1
所属機関: 1滋賀医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.468 - P.474
文献購入ページに移動くも膜下出血患者の治療にあたり,出血原因の究明が第一の急務である.CTスキャンの普及により発症早期にCTが撮影され,脳内出血や脳腫瘍など二次的にくも膜下出血をきたす疾患を比較的容易に鑑別できるようになり,さらに拡大血管撮影など脳血管撮上の技術的進歩により,微小脳動脈瘤や血管奇形などが発見されやすくなったため,従来,くも膜下出血全体の20%程度といわれてきた原因不明例の頻度は2,5,9,13,15,16),最近では10%以下とする報告が多い8,10,22,24).
原因不明例の臨床的特徴として,比較的軽症例が多く,再出血の頻度が低率で,長期予後も良好であることなどがあげられている2,3,6,8,10,13,14,17,24),われわれも過去7年間に詳細な検査にもかかわらず最終的に出血源不明であった16例のくも膜下出血症例を経験した.これらの症例について,当科入院時のgrade,CTでの出血の程度および予後について検討し.さらに原因不明となる原因に関して,われわれが経験した数症例を提示し,考察を加える.
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