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三叉神経痛
―研究―三叉神経痛に対するグリセロール注入法における穿刺針先端の同定—ガッセル神経節直接電気刺激により誘発されるdirect-blink reflex(DBR)について
著者: 河村弘庸1 天野恵市1 谷川達也1 川畠弘子1 能谷正雄1 伊関洋1 塩飽哲士1 長尾建樹1 平孝臣1 岩田幸也1 梅沢義裕1 清水常正1 喜多村孝一1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
ページ範囲:P.613 - P.620
文献購入ページに移動三叉神経痛に対する除痛法として,microvascular decompressionや経皮的ガッセル神経節電気凝固法が行われているが1,3,7,9,14,16),近年経皮的ガッセル神経槽内グリセロール注入法(percutaneous retrogasserian glycerolinjection,PRGI)は術後の顔面の感覚障害を少なくして大きな除痛効果を挙げることができ,かつその手技も他の除痛法に比べ簡便なことから,すぐれた除痛法として注目されている6,8,12,15).このPRGIで最大の除痛効果を挙げるには,穿刺針先端が的確に神経槽内に刺入されなければならない.一般に,PRGIでは,穿刺針の挿入はHärtel法4)に準じて行い,X線透視下に卵円孔を介して穿刺針先端をガッセル神経槽内に刺入するが,この際髄液の流出が直ちにみられ,なおかつガッセル神経槽が十分造影されれば,穿刺針先端は確実に,ガッセル神経槽内にあることになる.しかし,ガッセル神経節,神経槽,卵円孔などの解剖学的variation5),アルコールブロックや炎症などによるガッセル神経節,神経槽の癒着変形12)のため,髄液の流出が認められなかったり,髄液の流出がわずかにみられてもガッセル神経槽造影が不十分な場合には,従来のX線学的検索13,18)では穿刺針先端の同定は困難となる.
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