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手術・治療・外傷
―研究―眼窩内腫瘍摘出のための手術手技の工夫—Combined fronto-orbital approach
著者: 内堀幹夫1 上田聖2 平川公義1
所属機関: 1京都府立医科大学脳神経外科 2社会保険神戸中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.654 - P.658
文献購入ページに移動われわれは,1976年から1985年までの10年間に38例の眼窩内腫瘍を経験した.このうち眼球腫瘍と炎症性疾患を除き,眼窩内腫瘍として摘出術の対象となるものは12例であった.腫瘍摘出のための術式として,Krönleinのlateral approachあるいはDandyのtransfrontal approachを用いてきた.しかし,これらの手術法で治療された症例のなかには,術後も症状がほとんど改善されないか,あるいはtotal ophthalmoplegiaに陥ったものがあり,手術成績向上のためには手技上の工夫が必要であることを痛感していた.
おりしも最近,muscle coneを占拠する大きな腫瘍が相次いで4例発見された.従来のtransfrontal approachに改良を加えた方法で腫瘍摘出を行ったところ,術前にblindであったschwannomaの1例を除き,他の3例のcavernous angiomaでは視力および眼球運動に著しい改善がみられ,かつ美容的観点からも満足できる結果が得られた.本稿では,眼窩内腫瘍に対してわれわれが行っているcombined fronto-orbital approachを紹介し,他のapproachと比較検討する.
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