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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科16巻6号

1988年05月発行

文献概要

研究

下垂体前葉および下垂体腺腫における濾胞星状細胞(folliculo-stellate cell)の存在について

著者: 宮崎宏道1 戸谷重雄1 大谷光弘1 亀谷徹2 和田知益2

所属機関: 1慶応義塾大学脳神経外科 2北里大学病理

ページ範囲:P.713 - P.719

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I.はじめに
 正常下垂体前葉において,各種のホルモン分泌細胞以外に濾胞星状細胞(folliculo-stellate cell,以下FSCと略す)の存在が知られている.1953年および1955年にRinehartら16,17)がラットの下垂体の電顕的観察において,他の内分泌細胞と異なり分泌顆粒を持たず突起状の細胞質を示す星状(stellate)の細胞を少数認め記載したのに始まり,その後ヒト1)を始め種々の動物12,18,25)でこの細胞の存在が電顕的に確認された.また,この細胞が前葉内で,ときにコロイドを含む濾胞(follicle)を形成している3,12)ことより濾胞星状細胞という呼び名が提唱され21,22)普及した.FSCの下垂体における機能に関しては初期より種々の説がいわれているが,いまだに一定の結論は得られていない23).1980年Cocchiaら2),Naka—jimaら15)は,それぞれラットの下垂体でFSCが免疫組織化学的に抗S−100蛋白(S−100)抗体にて標識されることを見いだし,以後,抗S−100抗体を利用して光顕レベルでもFSCの識別が可能となった.
 一方,下垂体腺腫におけるFSCの存在に関しては古くは電顕的に1,5,24),最近では免疫組織化学的に8,11,13,14,20)研究がなされ,腺腫の中にはかなりのFSCを含むもののあることがわかってきた.しかし,その臨床的意義に関する検討は少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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