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症例
血管撮影上著明な腫瘍陰影を呈した傍鞍部脊索腫の1例
著者: 平井収12 菊池晴彦1 山下純宏1
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2現籍 浜松労災病院脳神経外科
ページ範囲:P.757 - P.761
文献購入ページに移動MRIやX線CTの普及とともに脳腫瘍の診断にも長足の進歩がみられるが,傍鞍部においてはさまざまな病変が発生するために診断に苦慮する場合も多い1,12).
傍鞍部脊索腫の神経放射線学的特徴は,頭蓋単純写における鞍背や後床突起の破壊,咽頭部,蝶形骨洞に突出する腫瘤陰影,病変部の石灰化7,16),CT上不均一に弱い造影効果を認める6,12)などとされているが,稀に例外も散見される8,9).脳血管撮影では,比較的出血しやすい性格を持つにもかかわらず15),ほとんどがavascularmassとして見え1,7,8,12,16),腫瘍陰影を呈したという報告はごくわずかである4,7,13,17,18).われわれは脳血管撮影上著明な腫瘍陰影を呈したばかりでなく,非常に出血しやすい傍鞍部脊索腫を経験したので,その病理および治療上の問題点について考察を加えた.
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